女子野球トーナメント開催
2022年10月下旬から11月中旬にかけて、中米・ニカラグアを訪れた。その目的は現地での女子野球ドキュメンタリー番組の制作と女子野球の環境視察にある。これは前回の記事の続きとなる。
今回、約3週間の滞在ではほぼ首都のマナグアにいた。その間にドキュメンタリー番組に使用する映像やインタビュー撮りをしながらも、もう1つ準備していることがあった。
それは、女子野球トーナメントの開催だった。首都にある野球アカデミーチームの他に地方のチームを集めた試合をしようとしていた。
振り返ると色々と同時並行させながら、忙しい日々を過ごしたことになる。

ニカラグア野球連盟会長に大会開催の依頼や使用するグラウンドの予約、チームへ参加可否の確認等、直接交渉と連絡で一切、外出しない日はないほど歩き、時には車で長時間移動と駆け巡っていた。
ニカラグアの女子野球選手にとって、自分の力を発揮する絶好の機会。試合日が近づくごとに胸が高まっていたことだろう。
そして11月12日、運命の試合当日を迎えた。
結果から新しい未来へ
迎えた試合当日、会場となったスポーツ庁の運動施設内にある「ジャッキー・ロビンソン球場」では、アカデミーチームの他に地方からバスに乗って選手たちが集まってきた。
朝9時からの試合開始ということもあり、眠たそうな顔をしている選手が多かった。
それでも、グラウンドに入るとスイッチが入ったのか、表情が厳しくなり、眼光も鋭くなった。

実際に試合が始まると、驚いたのは長打を打てる選手が多かったことだ。
柵越えホームランこそでなかったものの、弾丸ライナーで左右に打ち分ける選手、ひっぱり専門でも鋭い打球を飛ばす選手と打撃技術が高いプレーヤーが揃っていた。
一方で投手は球速がない代わりに制球力がある選手が多かった印象。発展途上国の野球は、ストライクが入らず、四球連発で崩れていくパターンが多い。
ニカラグア女子野球はそういった心配もなく、安心して試合を見られる状況であった。
今後、ニカラグア女子野球が国際大会で勝ち抜いていくには、守備力強化がカギになるだろう。
全試合を見る中でもちろん、失策はあるのだが、その後のカバーであったり、中継やセットプレーなど細かいプレーをチーム単位で見直していけば、日本とも互角に戦えるのではないだろうか。
選手個々では何人も光る選手はいるーーこれがニカラグア女子野球の印象的だ。
今回、行われた女子野球トーナメントは約3週間、練習を見てきたアカデミーチームの優勝で幕を閉じた。
結果以上にニカラグアという地にまた、女子野球の大会を開くことができた過程と結果の価値が大きかった。これは今後も継続的に競技を行っていく第一歩になったからだ。
大会を終えて次に見据えるのは、日本でプレー機会を探ること。
既に今大会の開催に尽力した阿部翔太氏は、ニカラグアの女子野球選手を誘致しようと動き始めている。目指すは2023年4月から5月までの1ヶ月を目指している。
選手のさらなるレベルアップに向けて、新しいステージに挑戦すること。またニカラグア女子野球の新しい歴史が始まる。
いつかは、ニカラグア女子野球代表が日本代表と試合をする日を夢見て。
